Maly Darek

はじまりの頃

小さな頃から、手を動かして何かを作ることが好きでした。

紙で工作をしたり、ミシンで何かを作ったり。

何かを作っていると、自分だけの世界にいられて、何かを生み出しているような感覚がとても好きでした。

高校生くらいの頃から、いつか何かを作る仕事ができたらいいな、と思うようになりました。

けれど、何を作りたいのかは分かりませんでした。

何かを作る仕事で生活していけるのかという不安のほうが先にあり、その頃は、作る道を模索することはありませんでした。

まだ見えない道

その後、今の延長線上に自分の未来を描くことができず、大学院を辞めました。

いくつかの仕事を経験しながら、自分は何をしたいのか、どんなふうに生きていきたいのかを考え、迷いながら日々を過ごしていました。

仕事としてできることはあっても、どこかで、ほかの誰かにできることをすることに、自分がここにいる意味を感じられない自分がいました。

自分だからできる何かが、きっとあるはず。

そんな感覚だけが、ずっと心のどこかにありました。

ひとつの世界との出会い

そんなある日、ひとつのジオラマ作品に出会いました。

古い指輪入れの中に広がる、小さな世界。

それを見た瞬間、
「自分もこんなものを作ってみたい」

そして、
「これを仕事にしたい」
と思いました。

それまで漠然としていた「何かを作る仕事」が、初めて自分の中ではっきりと形になった瞬間でした。

そして2021年、経験のないところからMaly Darekとして活動を始めました。

形になっていくもの

作品を作るとき、最初から完成した姿が見えているわけではありません。

ぼんやりとしたイメージから始まって、ひとつずつ形にしていくうちに、少しずつひとつの世界になっていく。

その過程に喜びを感じながら、作品を作っています。

最初に思い描いていたものよりも、最後にできあがったもののほうが、自分の想像を超えている。

そんな瞬間に出会えることも、作品を作る楽しさのひとつです。

灯りがともるとき

私にとって、作品の灯りも大切なものです。

灯りがなくても成立する作品を作りたいと思いながら、灯りがともることで、作品に命が宿るように感じる。

だから、最後に灯りをつける瞬間がとても好きです。

誰かのもとへ

そして、作品を手にしてくれた人のもとで、その作品が長く生き続けてくれたらと思っています。

何となく心に残って、
ふとまた見たくなって、
いつかその人にとって大切なものになる。

そんな作品を作れたらと思っています。

自分にも、そんな存在があります。

子どもの頃は、ぬいぐるみが欲しいと思ったことなんて一度もなかったのに、大人になって、初めて「欲しい」と思って買ったウサギのぬいぐるみ。

辛いとき、その存在に助けてもらったことがあります。

いつも変わらず、笑っている。

その笑顔を見ていると、考えすぎていたことが少し遠くなって、ただ自分でいられるような気がします。

言葉を交わすわけではないけれど、ぬいぐるみを通して、自分自身と話をしているような感覚なのかもしれません。

ボロボロになっても、繕いながら、今でも大切にしています。

だから、私が作るものも、誰かにとって、そんなふうにそばにいてくれる存在になれたらと思っています。

言葉のかわりに

自分のことを言葉でうまく語るのは、あまり得意ではありません。

でも、Maly Darekとして作品を作ることで、自分の中にあるものを表現できているような気がしています。

Maly Darekという名前に込めたもの

私は、小さな世界を作っています。

けれど、本当に届けたいのは、その世界そのものではありません。

作品を覗き込んだとき、誰かの心の中に眠っていた景色や記憶が、そっと動き出すこと。

その小さな心の動きが、その人だけの物語へとつながっていくこと。

それが、私が作品を作る理由のひとつです。

作品には、答えを用意していません。

「こう感じてほしい」と伝えるのではなく、見てくださる一人ひとりが、自分だけの物語を見つけてほしいと思っているからです。

ある人は懐かしさを感じるかもしれません。

ある人は、大切な誰かを思い出すかもしれません。

ある人は、静かな安心感に包まれるかもしれません。

作品を通して生まれる、その人だけの景色や感情。
それもまた、その人だけの大切な物語だと思っています。

作家名の「Maly Darek」は、チェコ語で「小さな贈り物」という意味があります。

私にとっての贈り物とは、作品そのものではなく、作品を見てくださる方の心に生まれる小さな変化です。

ほんの少し心が穏やかになること。

忘れていた景色を思い出すこと。

ふと、何かを感じること。

そんな小さなきっかけを届けられたら、それ以上に嬉しいことはありません。

作品を通して、その人の心にある景色と出会えることも、私にとって大切な喜びです。

私の作る小さな世界が、誰かにとっての小さな贈り物となりますように。